2021年末にver3.0になったオープンソース最強の3D統合ソフト、Blender。
今回、Cyclesレンダーが大幅に高速化したとのこと。
果たしてどれだけ速くなってるのか?
最新グラボなど持ってないライトゲーマースタイルのちょっと古めのマシンは、どこまで使えるのだろうか?
検証結果に基づき、ライトBlender使いが買うべき(というか買いたい)オススメグラボを検討。
テスト環境
- Blender3.0.1
- 公式サイトのデモファイルを利用
(Car demo CC0 BMW) - コンポジティングとシーケンサーは無効にする
(ライト周りの後処理をカット) - 出力サイズを半分の480×270にする
(25%、デフォは50%) - タイルは無し
(オート設定、チェック外す)
この状態を基本とし、サンプリング数、出力サイズ、レンダーエンジンを可変させて、レンダリング完了までの時間を記録(出力プロパティ>メタデータ>画像に焼き付け)。
なお、2.93まではタイルサイズにより大幅にレンダー時間が可変したが、3.0はオートで問題ない(と、どこかに書いてあった、まぁ480×270だとほぼ関係ないが一応)。
検証マシン1
- CPU Ryzen7 2700
(OC 全コア3600Mhz 定格は3400Mhz) - メモリ DDR4 3200 32GB
(OC 定格は2933) - グラボ Radeon RX570 8GB
(サポート切られたため使えない)
2019年頃からメインで使ってる。GCN世代のRadeonが非対応になったため、CPUのみ測定。
レンダリング時、CPU には全開で超高負荷がかかる。3725Mhzにしたら落ちたので3600Mhzにしとく(純正のWraith Spire)。
検証マシン2
- CPU Corei7 3770
- メモリ DDR3 1600 32GB
- グラボ Geforce 750Ti 2GB
2010年代を戦い続けた元メインのサブ機。そろそろ完全退役してRyzen7 2700をサブに回したいと思ってる。
しかし、現状では2022もこれで乗り切りそうな雰囲気(AlderLake のマザーが高すぎる、そしてDDR5にしたいけど、すげー超高い)。
i7 3770の結果
とりあえず、10年前の3770から。
サイズ25%でさえ、3分(170秒)くらいかかる。一応ver2.93も測定してみたけど、同じだった。
CPUレンダリング時の速度は変わっていないようだ(ただし低解像度な点に留意)。
なお、このファイル、デフォルト設定のサンプル数は1225あり、この時代のCPUでは常用不可能な領域。
サイズ100%(フルHD)にしたら1時間くらいかかると思われる。最初の画像のとおりガチフル負荷であり、10年選手にトドメを刺す危険性があるためやってはいけない。
750Tiの結果
やべぇ・・・目を疑う速さだ。
参考までに、ver2.93だと90秒。
2倍以上も速くなってる・・・
ここから更に、デノイズ(2.8あたりから搭載されたAI)使ったらどうなっちゃうのこれ?
使ってみた結果↓
・・・8秒でこのクオリティ出るのかよ。
デノイズすげぇ。サンプル数1/10でもパッと見じゃ解らない。
趣味や遊びなら1225もサンプルする必要性はもう全く無いな。
この感じ、GTX1650があれば十分すぎるんじゃないかね?
失敗したなー。1650もRX570と一緒に買っときゃ良かったな・・・まー、完全にたらればなんだが(買う人が居ないから下がってたわけで。あのころRX570ジャンク扱いなら5000円とかだったわけで・・・今考えるとゲーム3本付きで17480円だったのはありえない、実質タダじゃんそれ・・・)。
Ryzen7 2700の結果
【悲報】 Ryzen オワタ。750Tiに負ける。
という釣りタイトルみたいのは、一旦置いておいたとしてもだよ・・・やっぱりクリエイティブ系アプリはNVIDIAサイドに開発リソース全力投入してるな、と。
AMDのCPUでは勝負にならん。Intel+NVIDIA が鉄板だと改めて思う。
不利なのを解ってて判定したところでも、この差「39秒対56秒」は大きい。2世代後の5600X(2020年末発売)であっても750Ti(2014年9月発売)と同等くらいであることを意味し、極めて厳しい結果と言わざるを得ない。
いやまぁ、CPUレンダーだからしょうがないんだけどさ・・・可能な限りチューニングした結果でこれ↓
サンプル数を1/100に落とした代わりにフルHDでレンダーからの全力デノイズ依存し、最後は縮小で粗を誤魔化す。
で、14秒。まぁまぁの結果。使えなくは無い。
しかし、結論としてはやっぱり・・・
BlenderはNVIDIAのグラボが必須級
Blenderユーザーが買うべきグラボ
先程の結果から各グラボの性能値を比較、予測してみた(あくまでCyclesレンダーの値)。
750Tiの性能値を1.0としたとき、各グラボ(GPUレンダー)とCPU(CPUレンダー)のポジションは、だいたい以下のようになる、と思われる。
- 0.7~ GT-1030-GDDR5-2GB Ryzen5-3600
- 1.0~ GTX-750Ti-GDDR5-2GB i5-12400F
- 1.5~ GTX-1050Ti-GDDR5-4GB i5-12600KF
- 2.0~ GTX-1650-GDDR6-4GB i9-12900KF
- 3.0~ GTX-1660-SUPER-GDDR6-6GB
- 4.0~ RTX-3060-GDDR6-12GB
※グーグルに聞いて出てきた複数サイトの結果(Cinebenchなど)から独自に判定。本件は環境によってブレが大きく、正確な比較は全グラボとCPU所有者以外不可能である。
GT-1030 意味無し
GT-1030やRyzen5-3600クラスでは、GTX-750Tiより低い値しか出ないため、これらをBlender目的で買うのは論外であり、何の意味もない。
中古の750Tiより新品の i5 12400F
遊ぶ目的なら、GTX750Tiは最低レベルとしてギリギリ有りかもしれない・・・1000円とかなら。
しかしこのご時世、中古で5000円以下が見つからなかった。この値段では今更買う意味は無い。
だったら最新CPUのCore i5 12400Fのほうが良い(Ryzen5 5600X超えてるため、CPUレンダーで750Ti超えが期待できる)。
GTX1050Tiは微妙
1.5倍クラスのGTX1050Tiや、i5-12600KFはかなり微妙。
i5-12600KFはCPUとして使えるから良いとしても、1050Tiは余りにも不当に高すぎる。
このクラスまで高騰が続いてる意味が良く解らない。なんというかやはり、ニワカ自作erの情弱が狙い撃ちされてるんだろうな(過去記事)、とは思う。
ただし前述のとおり、LGA1700のマザーボードとDDR5がクソ高い点には留意したい。
やはり GTX-1650がベストか
というより、グラボ買うなら最低ラインがココ。
そして、その上のGTX-1660-SUPERは逆に中途半端で微妙。
全開負荷がかかるレンダリングで補助電源モデルを使うためには、冷却にそれなりの配慮が必要だからだ。
しかも、クリエイティブ用途はメモリ量がモノを言う。業務ならRTX-3060以上は必須だろう。
しかし、ライトBlender使いがそこまで必要かと言えば・・・いらない。というか、ここから上は価値観の話にもなるんだが・・・そのステージまで到達してる人は、もうセミプロなんじゃないかなぁ、と。
この層には、先日出たGTX3050が割と良いとは思うけど・・・急いでなければ保留か。
まとめ
改めて、ちょっとでもアプリ性能が欲しい属性を持ってる人はNVIDIAのグラボ買わなきゃダメだな、という事が良く解った。
じゃぁ、AMD Radeon誰が買うのよ?
て、話なんだが・・・17480円だった2018~みたく、安ければ買うけど、下げる要素は特に無い2022年のAMD。
今後、Arc Alchemist が出たとしても、GF製造の当時と違ってTSMCに全委託してるAMDが自社製造できるインテルに価格で勝てるとは思えず・・・
しかしながらNVIDIAエントリークラスは、少なくともAMDよりは下げる余地はあるかも・・・と読んでる(ハイエンドで利益出るから)。
ということで、やはり2022年にグラボ買うなら Arc Alchemist が出るまで待ちしか無い。そこで変革が起きる可能性がある。
2月に入っても一向に出る気配は無いが・・・