仮想通貨マイニング 素人がざっくり調査&机上計算してみた結果・・・

2021年、マイニングのせいで暴騰したグラボ。秋になっても、未だ適正価格とは言い難い高値で推移している。

こんなに規制やら環境負荷やら言われてるのに、まだ需要があるのだろうか・・・というより、そもそも本当に儲かるのだろうか?

怪しすぎる・・・

やたらと煽ってるヤツとか、何だか嘘くさいよなぁ・・・まあしかし、断定する根拠は欲しいところだ。

ということで素人なりに調査、簡易的に収支計算をしてみた。

※個人の見解であり、必ず各種公式サイトを参照のこと(特に課税関連)。また、投資は自己責任であり元本の保証は無い。

課税関係を調べてみた

2021年現在、個人でマイニングして利益が出る(かもしれない)のはイーサリアム(ETH)のみ・・・だとネット住民は皆、言ってる。

このETH、取得経路は3つある(イーサリアム公式ドキュメント読んだ個人の見解)。

  1. マイニング(システムの運用報酬)
  2. 法定の交換所(業者の両替)
  3. 個人間の交換(何らかの取引の対価)

2と3の取引毎に手数料がかかり、当該取引の検証、帳簿処理を1の人が行う。その手数料がマイナー(マイニングする人)の原資となる。

なお、手数料は変動する上に、2021年現在、ETH自体の変動幅も極めてエグい(ボラティリティ激高)。

取得したETHの扱いはこうなる(国税庁の公式ドキュメントを読んだ個人の見解)

  • 原価計算は取得時の時価
  • 所得計算は譲渡時の時価
  • 利益は日本の税法上、雑所得(譲渡所得ではない)
  • 日本の法定業者を通す場合の匿名性は無い
  • 消費税は非課税
  • 消費時(商品購入)も譲渡とみなされ差益に課税される
  • 無償譲渡しても時価70%で課税される
  • 入手した時点で税務署に届出が必要
  • エビデンスが無いと取得価額5%で(つまり時価の95%に)課税される
  • 事業者と個人で計算方法が異なる
  • 個人は雑所得のため損益の通算ができない
  • 個人の経費は「必要な支出であると認められる部分」しか認められない(これは他所得も一緒)
  • 個人がマイニング設備を単年度で全て経費計上するのは(おそらく)認められない

とにかく、雑所得という仕様がクソ。

損益通算も繰り越しもできないため、少なくとも個人マイナーのポジションホールド(長期保有)は意味無し。

日本居住者は日本円への即両替が必須レベル。

理由はマイニングで得た仮想通貨の取得価格は0円+経費しかないため、年度をまたいで暴騰したら譲渡時に税金が増えるが、暴落しても払った税金は返ってこないからである。

これは住宅に例えると、1000万円の居宅を何らかの報酬として現物取得し、その分の税金が100万円に決定したが次の年に不動産が暴落、価値が100万円になっちゃったけど、税金は100万です。家を差し押さえます。みたいなケースが発生することを意味する。

だが、居住用住宅には特例やら補助金があり、生存権や何やらを主張する事もできる上、貸せば家賃も取れる事に加え、イキナリ地価が1/10になることは考えにくいから、こんな事にはならぬ。

しかし、仮想通貨には特例も補助金も権利も無い。おまけに取引情報はガッツリブロックチェーンに刻まれてる。調査したら100%補足される。だいたいコレは投資どころか投機だし、あなたを保護する必要も無いでしょう、キッチリ100万納めてください。みたいな無慈悲な裁定が待っている。

・・・はずだ。仕組みが極めて複雑なため、最終判定は国税庁の公式を見て各自判断していただきたい。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm

取引手数料関連(ウォレット)を調べてみた

世の中、何かと手数料がかかる。売買について言えば、消費だけしていると支払っている実感は無い。しかし、現金だろうがPaypayだろうが、手数料はある。

ただ日本は慣例上、BtoCのケースではB側(会社)が負担しているだけに過ぎない。

だが仮想通貨は、日本の慣例など眼中にないシステムを採用してる。手数料はキッチリ取られる傾向。

割と日本慣例テイストな運用をしているGMOコイン(GMOグループ)は以下の手数料形態であった(調査時点)。

  • 日本円入出金 無料(振込手数料除く)
  • 取引手数料 現物最大0.05%
  • 送金手数料 無料(となってるが、実質時価では?)

仮想通貨の取引形態はFXや株と若干違う。売りポジ買いポジに関係なく、板上に指値を出した側をMaker、成行注文側をTakerと呼び、約定時はTakerの手数料を高く取る収益モデルのようだ。

また、送金手数料はマイナーのさじ加減なため、取引所は感知せず「現在は無料」という扱いに過ぎない。イーサリアムを例にとれば、Zaifで0.01~0.05ETH、ビットフライヤーは0.005ETHになってることから、結局は0.01ETHくらいは乗せないとダメではないだろうか。

そこで、実際に送金取引をしている日本人の体験談を探してみようとググった・・・の・だ・が、ガチで送金してる人がほとんど見当たらない。

これは・・・送金(普段使い)目的に仮想通貨を使ってる人が如何に少ないかを物語っているのではないだろうか・・・

特にBTCの送金コスト、意味が解らないほど高い。

マイニングプール手数料を調べてみた

マイニングを個人でやるのは、もはや無理ゲーとの意見は多い(ただしこれ、けっこうな初期から延々と無理ゲーだと言われていた記憶がある。設備がすぐ陳腐化するから)。

従って、主流はマイニングプールに所属、分前をもらう方式になる。というかこれしか選択肢は無い(他にあるなら教えて欲しい)。

調べた限りで条件が最も良いと思われるHiveon Pool を例としよう。

  • プール手数料 0%
  • 送金手数料 0
  • 最低出金額 0.1ETH
  • マイニング速度 1日で0.00196ETH(5.94ドル)/100MH/s

※2021/9/23時点

最低出金額がけっこう高めに設定されてるため、100MH/sのマシン(今、組んだら2、30万円くらいか)でさえ、51日間マイニングしないと送金されないという計算になる。

そしてこの時、予想される送金額は約300ドル(ただし相場が変動しない場合←ありえんけど)。

Hiveon的には、この端数が実質手数料になるのだろうか?(なお、バイナンスはプール手数料モデルな模様)。

マイニング機材関連を調べてみた

マイニングするためには機材が必要。パッと考えたら最小構成でもこんな感じではないだろうか。

  • OS 0円(Hive)
  • PC 中古サーバー 0円~数千円
  • グラボ Radeon RX 6700 XT 80000円前後~

ベースはDELLや富士通あたりの型落ちサーバーが良いのではないかと思う(電源と連続稼働に強いため)。まぁ、やる気は微塵も無いので知らんけど(後述の最終判定より)。

仮に8万円で組んだとしよう。このスペックでどのくらいのパワーがあるのか?

英語でググってみた結果・・・チューニングしたら80W台で45MH/sくらいは出る模様。

手抜き省電力設定で、トータル100Wで45MH/sになったと仮定しておこう。

マイニングの収支予想(仮)をしてみた

これらの値を、全て机上の計算により、マイニング収益を計算したらこうなる。

  • 一日の採掘量
    0.000882ETH(0.00196 × 0.45)
  • 1日の消費電力
    2.4KW/h(0.1 × 24)
  • 送金開始日
    114日後(0.1 ÷ 0.000882)
  • 送金開始日までの消費電力
    273.6KW/h(2.4 × 114)
  • 電気料金
    7113円(273.6 × 26)

※通貨は現在

  • 1ETH=3,030ドル(約33万円)
  • 1ドル=110円

電気代は

  • 26円/kwh

である。

稼働114日後に0.1ETH(33000円と仮定)をGMOコインで成売り(Taker)換金するとこうなる(スプレッドは無かったとして)

  • 手数料
    16.5円(0.05%)
  • 1フェーズ(114日間)の利益
    32983円
  • 年間の利益
    105547円(約3.2フェーズ × 32983)

だが・・・これはETHの採掘難易度(Dificarity)と価格が変動しない、かつ365日完全稼働できた場合だ。あくまで最大値。

実際に、ここ1年でETHは

  • 採掘難易度の上昇
    約3倍/年
  • ETH価格
    10倍/年

になってる。

Dificarity上昇は概ね一定(に調整される仕様)らしいから、初回3/3、2回目2/3、3回目1/3に低減するとしよう。

1フェーズの利益が基本3万で、3フェーズ稼働できたと仮定し、1年後のETH相場の変動について3つのケースを想定してみた。

  • 等倍だった場合の利益
    約60000円/年(初回換金約3万、2回目約2万、3回目約1万)
  • 10倍だった場合の利益
    約310000円(初回約9万、2回目約12万、3回目10万)
  • 1/6だった場合の利益
    約21000円(初回1.5万、2回目0.5万、3回目0.1万)

※Dificarityと採掘量の相関はどこまであるのか不明。計算しやすいようにざっくり端数は無視。というか変動には波があるため、どのみち厳密な計算は不可能に近い。ただし、SPARK POOLのチャートによれば、概ね上記のような傾向になっていた・・・という前提の、あくまで机上の数値

https://www.sparkpool.com/token/ETH#chart2

税引き後収支の予想

前述のとおり、個人の申告で電気料金とPC代金を税務署が満額認めるとは思えない。

目安を1/2とすれば、経費に計上できるのは45000円が限界だろうか。

このとき利益に対する、課税対象額は

  • 等倍パターン
    15000円
  • 10倍パターン
    265000円
  • 1/6パターン
    0円

になる。

これに対し、44%程度課税される可能性がある(前述のとおり雑所得だから。住民税10%、所得税20%、国保が5%、厚生年金が9%とした場合)。

なお、計算式が極めて複雑なため、本気でやる人は必ず税理士に相談すべき。

仮に44%だった場合の課税額は以下のとおり。

  • 等倍パターン
    6600円
  • 10倍パターン
    116600円
  • 1/6パターン
    0円

原価として、PC(グラボ)+電気代に87113円投入しているため、税引き後の最終利益は・・・

  • 等倍パターン
    -33713円(60000-6600-87113)
  • 10倍パターン
    106287円(310000-116600-87113)
  • 1/6パターン
    -66113円(21000-0-87113)

である。

まとめ

イーサリアムマイニング、完全にやる意味無しの判定。

1年後に相場1000%の前提で動かしても220%強のリターンというのは、リスクとリターンのバランス悪すぎではないだろうか。よほど確信してる情報通(というか内部関係者)以外、まじ無理ゲー。

こんなんで、何でやってるヤツおるの?

それとも、この試算が間違っているのだろうか?

というより来年には、PoWからPoSに移行するってどっかで見たのだが・・・

たとえ移行しなくても、年明け以降に新モデルのグラボが出たら、完全に死ぬよな。というか、常に死ぬよな。毎年新グラボ出るから

やっぱり嘘くせぇわ・・・マイニング押してるヤツは・・・

これ、情弱から吸い上げるシステムにしか見えねぇんだよ。こんなもん素人どころか、マトモな人間が手を出すものではない。

電力か納税か良心をブッチギらない限り利益など出ないだろう・・・

グラボが高すぎる今 下がった時に狙うモデルを考えとく


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